コラム

最高人民法院による訴訟差止命令 「華為vs Conversant事件」


 2020年9月、中国で初の外国訴訟差止命令(Anti-Suit Injunction)が出されました。標準必須特許に関する訴訟であったことから、ニュース記事などでも多く取り上げられ、ご存じの方も多いかと思いますが、今回は最高人民法院の典型案例の概要をご説明します。


訴訟差止命令とは

 本判決が出た当初は、あたかも、中国の裁判所がドイツの裁判所に判決を執行するな、という判決を出したかのようなセンセーショナルな伝え方がされているものも見受けられましたが、そうではありません。あくまで、「ドイツ訴訟で勝訴したConversantに対して、華為への強制執行を申請するな、もし申請すれば、罰金を課す」という内容であり、不作為義務の間接強制に近いものです。


事件の概要

当事者A :華為技術有限公司(申請者、原告、被上訴人)

当事者B :康文森無線許可有限公司(非申請者、被告、上訴人)

裁決日:2020年9月、最高人民法院 ((2019)最高法知民終732、733、734号のその1)


 標準必須特許の場合、紛争もグローバル化するリスクがあり、標準必須特許についての裁判動向は、各国とも、いまだ流動的な面があり、こうした傾向は今後も続いていくと思われ、日ごろ、中国のみならず、各国の裁判動向、法令動向に注意する必要があります。ライセンス契約では、こうした動向も見極めながら、準拠法、管轄などの規定を検討する必要があるでしょう。


※本判決のより詳細な情報は、弊所のニュースレター2021年1月号でご紹介しております。ご希望の方は「お問い合わせ」よりご連絡ください。


著者情報

IP FORWARD法律特許事務所

日本国弁護士

本橋 たえ子

本橋たえ子 / Taeko Motohashi

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