「大頭息子と小頭パパ」の著作権侵害に関する紛争
「洪亮息子と小頭パパ」は、中国におけるとても有名な児童文学であり、それを原作とするテレビアニメおよび漫画である。この作品は1995年より、テレビアニメ第1作として、中国中央電視台と上海東方電視台の共同制作により放送された。
このテレビアニメ第1作について、1994年、「大頭息子と小頭パパ」のアニメ監督から依頼を受け、劉沢岱は「大頭児子」、「小頭パパ」、「エプロンママ」のキャラクターの正面図を作成した。しかし当時、この作品の著作権の帰属について当事者同士の書面による明示的な合意契約がなかった。
2012年、劉沢岱は「大頭児子」などの3作品の著作権を洪亮に譲渡した。また、2013年、劉沢岱は中央電視台アニメ集団会社(以下、「央視アニメ」という)と創作委託契約及び追加契約を締結し、央視アニメが「大頭児子」などの三つのキャラクターの署名権を除く全ての知的財産権を所有することに同意した。
その後、劉沢岱は上記事実を確認する説明書を書き、洪亮との譲渡契約は先方から誘導されて締結されたと主張した。央視アニメは1995年の劉沢岱がサインした書面を裁判所に提出した。一方、洪亮側の杭州大頭児子文化発展有限会社(以下、「大頭社」という)は、央視アニメが著作権侵害したと主張し裁判所を起こした。
一審では、裁判所は著作権の帰属について書面契約がないため、3作品の著作権は著作者本人の劉沢岱に帰属すると判断した。大頭児子文化会社は譲渡契約に基づき上記作品の著作権を取得し、央視アニメの無断使用は著作権侵害に該当し、著作権侵害の責任を負うべきであるとした。再審も一審の判決を維持したため、当事者は法律に基づいて最高人民法院に提訴した。最終的に、最高人民法院の審理判決では、本件関連作品は委託制作であり、署名権以外の著作権とその他の知的財産権は央視アニメに帰属することが認められ、大頭社の請求をすべて棄却することを決定した。
上記を踏まえ、本件は委託制作作品、法人作品、特殊職務作品の区別基準及び権利帰属の認定方法を明らかにし、著作権者の権利を保護した。このような紛争をさけるため、委託制作作品、法人作品、特殊職務作品などの権利所属を明確化するため、早めに著作権登録を講じるべきである。
出典:知産庫(https://mp.weixin.qq.com/s/qig8LVKJsTsdvKdtd9kZuA)