コラム

【中国の商標法】三年不使用取消審判における証拠認定(一)

 中国における「商標法」第49条第2項は、「登録商標がその査定に使用された商品の一般名称となったり、正当な理由がなく3年連続で使用されていない場合、いかなる企業または個人も商標局に当該登録商標の取消を申請することができる」と規定している。
 
 この規定は、主に商標法の立法の本意から出発している。すなわち、商標登録後の商標登録者は積極的に商業使用を行うことで、商標の不使用、買い占め、転売を避けるためである。そのため、商標登録者は登録商標を積極的に使用する法定義務がある。
 この法律に基づいて、商標登録が3年以上になると、きちんと商業使用が行われていない場合は「使用されていない」と見なされ、誰でもその登録の取消を申請することができると規定されている。
 
 商標の有効性を維持するために、このような案件において商標登録者が「商標が取消されていない」と抗弁できる理由は大きく分けて2種類ある:1つ目は、取消商品における登録商標の使用証拠を提供すること、2つ目は、使用しない正当な理由があることを説明することである。
 
 しかし、実際には、不使用の正当な理由、すなわち不可抗力により登録商標がビジネスにおいて商業使用されていないことは比較的稀である。そのため、合法的で有効な商標使用の証拠を提出することは、三年不使用取消審判において非常に重要である。実務にて、商標登録者から提出された証拠に瑕疵があり、官庁にそれを認められず、商標が取消されたケースは多く存在している。商標に使用行為が確実にある場合、証拠提出の瑕疵による権利喪失は非常に残念である。
 上記に基づき、本文は三年不使用取消審判のさまざまな場面における異なる証拠状況について分析・検討する。


 一.「商標譲渡公告又は商標許可届出公告が商標法の意義上の使用に該当するか」
 Q:実務において、商標登録から3年満了し、かつ商標が譲受人に譲渡されたばかりの時点で、他人による三年不使用取消審判にかけられたケースがある。この場合、商標の譲受人は商標譲渡公告に基づいて当該商標の使用行為を証明したり、当該商標が使用意図を持っていることを証明したりすることができるか。あるいは、商標登録から3年満了し、その商標を他人に使用することを許可し、商標許可届出を行い、当該商標許可届出に基づいて当該商標の使用行為または使用意図を証明することができるか。
 
 A: 商標の使用には、商標登録者自身の使用が含まれることもあれば、商標登録者が他人に使用許可を出すことも含まれる。また、商標登録者の意志に反していないほかの使用者による商標使用も含まれる。
 しかし、商標譲渡または使用許可届出の手続きを講じるのみで、実際に商標使用されていない場合、商標法における使用行為であることを認定できない。
 
 例を挙げると、第4013845号「M及び図」商標三年不使用取消再審案において、国家知的財産権局は以下の決定を下した。
 
 商標登録者より提出された証拠1は譲渡手続きのみであり、商標使用を証明できない。証拠2の授権書は商標の授権許諾状況のみを証明することができ、商標使用を証明できない。上記から、商標譲渡または許可届出のみを提出するとき、商標の譲渡または使用許可のみを証明でき、その商標の実際の使用行為を証明することができない。その使用を証明するため、他の商標の実際の使用に関する証拠をあわせて提出する必要がある。ちなみに、登録3年間満了の商標譲渡交渉においても、その商標が直近3年以内に商業使用を行っていないかを確認し、譲渡者がその使用証拠の提供に協力することを義務として別途契約で約束したほうがよい。

弊所代理人コメント

 上記からわかるように、三年不使用取消審判は、商標譲渡公告又は商標許可届出公告のみでは、商標法の意義上の使用に該当しない。そのため、三年不使用取消審判に備えるには、他者から譲受された商標や他者に使用許可を出した商標に対して、予め相手と確認しておいたほうがベターである。

出典:「中華商標」2024年第8号 日付:2024年12月9日https://mp.weixin.qq.com/s/bLvBoX8XPWWbjSB0s-iS1g

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