コラム

商標法の活用事例:第18744927号「愛優酷」商標無効審判の件について

 商標法は、商標を使用する者に独占的な使用権(商標権)を与えることにより、業務上の信用維持とともに、需要者の利益を保護することを目的とする法律である。自社商標が他社に権利侵害される疑いがある場合、商標法の関連規定に従い、早めに対応を講じることが想定される。


 なお、第18744927号「愛優酷」商標無効審判の件は、商標法第13条を活用する典型事例である。この件の経緯として、上海ファンニー国際貿易有限会社が2015年12月に「愛優酷」商標を出願し、2017年2月に無事登録されたが、優酷ネットワーク技術北京有限会社はこの商標に対して、商標法第13条などの規定により、無効審判請求を提出した。なお、優酷ネットワーク技術北京有限会社の「YOUKU」は、中国で極めて有名な動画サイトである


 ※商標法第13条とは、関連する公衆に熟知されている商標について、所有者がその権利を侵害されたと判断したときに、この法律の規定により馳名商標の保護を請求することができる。


 なお、その結果、商品には類似関係がないが、係争商標「愛優酷」が引用商標「YOUKU」(中国語「優酷」の発音)と類似であることを認定し、また、優酷ネットワーク技術北京有限会社が提出した証拠によれば、引用商標が係争商標の出願日の前に広範な宣伝で、公衆に既に周知されていたことが証明されると認定した。そのため、係争商標「愛優酷」がすでに他人の馳名商標を複製、模倣又は翻訳したことに該当し、公衆に誤解を与える可能性があって、商標権利者に利益損害する恐れがあることで、商標局は、2013年の商標法第13条第3項により、その登録を無効とし、かつその使用を禁止すると判定した。


 本件は、商標法の第13条を活用し、第三者が先行馳名商標を模倣する行為を規制した件である。さらに本件の審判は、普通の商標案件と比べ、馳名商標はより強力な法律保護を提供できることが判明した。


出所:https://mp.weixin.qq.com/s/SUvS4hMqF8d1jbF9E8AliQ

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